今
どこか、とても遠い場所に行きたい。
きっとこのまま何も言わずに出掛けて、連絡が取れなくなっても。
あなたは不安に思わないでしょう。
私がそれを望んだから。
ずっと雨が降って、ずっと日が沈んだままなら良いのに。
私が好きな人は、私の事を好きにならない。
それは仕方のない事で、そう思い込むもの。
闇雲に手を伸ばして声を掛け、その背中に縋ろうとするけれど。
手をすり抜けるのは、通り過ぎたあなたの影。
ゆっくりと揺れる残り香が、私の喉を詰まらせる。
雨。
目を合わせずに済むから。
会わずに済むから。
外出しない、理由になるから。
だから私は、雨が好き。
木漏れ日の代わりに降り続く雨粒の隙間を、穏やかな気持ちで歩けるから。
ずっと立派な草花に、心が落ち着くから。
独りきりになれるから。
梅雨になったらお出かけしよう。
機嫌も伺わずに。
何も気にせずに。
それは、あなたの事も。
ゆっくりゆっくり、歩いて行こう。
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